オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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【無駄口2】白煙の表紙
白煙表紙ウラオモテ


現在ブログで連載している『白煙』の表紙です。
うちの相方(当時のPNは山田花耽さん)が描いてくれました♪
(実は既にオフセット本化してるんですよ。)
ペイントに貼り付けてみてびっくり仰天!
表紙のオモテとウラで写真を撮った環境が違ってしまったらしく、色味が全然
違ってしまってますが・・・色あせてるんじゃないですよー(滝汗)

人物など紹介しますと、左から順に、向田松院、徳川博康、加藤蒼士です。
加藤くんは小説の中ではホンダのVFR-750に乗っているんですが、本当に
彼が好きなのはスズキのKATANA1100でして。(ゆずもバイク乗ってました。)
また、徳川と向田くんの身長差は5cmくらいなんですが・・・向田くんが
ちょっと“おすがりモード”ということでこんな感じになってます。

徳川は“若白髪”というか、38歳という年齢設定の割りに頭髪が白い!
もともと色素が薄いという設定で、瞳の色も薄茶色(明るい鳶色)。
日焼けしても赤くなって皮がむけちゃうタイプですね(笑)
だから背中の刺青も映えるわけで・・・って、ネタバレしちゃうよ(苦笑)

向田くんは茶髪ですが、これは地毛。生活指導の教師なんかに目を
つけられちゃう可愛そうなタイプ。
山田花耽さんは結構優しい顔に描いてくださってますが(山田さんが
とっても優しい方なんですよ)、ワタシの中ではもっとキリッとした感じ
ですね〜。「え?コイツが受け?」みたいな(笑)

加藤くんは“カラスのような黒髪に薄いブルーの瞳”という混血児。
小柄で、当時は170cmそこそこという設定でしたが、年齢が若いと
いうことで、その後成長することに。若干ですが、背が伸びます(笑)
実は、加藤くんこそワタシのメインキャラなんです。
彼には横文字の本名があって、他の小説では主人公。年齢も30代
前半〜半ばという設定なんですよ!(西暦2000年二桁代という時代
設定ですが。)
その“他の小説”を練る際に、「彼が20代前半のときに成長過程の
一端はどんな感じだったんだろう?」とウラ設定を考え始めてしまい、
この『白煙』を誕生させるに至ったのです。
ワタシの、加藤くんへの愛情の副産物なんですね(笑)

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テーマ:創作・オリジナル - ジャンル:アニメ・コミック

6 刺青(1/4)
6 刺青

 徳川のマンション。向田は真っ青な顔をして、リビングのソファで独り小さくうずくまって震えている。外では雨が唸りを上げながら降り続いている。
治療を終えて、梶木が和室から姿を現した。そうっと戸を引いてリビングと和室の間を遮断する。
「せ、せんせ・・・ヒロさんは・・・?」
 消え入りそうな声で向田が尋ねた。
「もう大丈夫。眠ったから静かにね」
 向田は小さく頷いて、そのまま唇を噛んで下を向いてしまった。そしてくぐもった小さな声で『ありがとうございました』と言った。
「きみこそ大丈夫かい?顔がまだ青いぜ?」
 向田は手のひらで目元を拭って顔を上げた。
「いえ・・・大丈夫です」
「じゃあ座って。傷の消毒くらいやっておこうか」
 梶木は向田の隣に腰掛けた。消毒液の染み込ませてある綿球をピンセットで摘んで、向田の頬や肘の擦り傷に触れた。
「・・・・っ!」
 やっぱり沁みる。向田の頬の筋肉が痙攣した。梶木は知らぬ顔だ。
「はい、おしまい」
 向田の身体から力が抜けた。いくつになっても消毒は嫌なものだ。
 梶木は治療道具を片付け始めた。
「よくここまで運転してきたね」
「・・・・はぁ・・・・」
 向田は膝を抱えたまま上の空で答えた。
「褒めてるんだよ。普通なら救急車を呼んで、警察が来て大騒ぎになってるところだ。車に乗せてマンションに連れ帰るなんて思いもつかないぜ、普通」
 向田は首をかしげている。自分の行動を不審に思わない向田が可笑しくて、梶木は笑ってしまった。しかし笑ったのは表面だけで、松院の防衛反応に驚き、感心していた。
 会社の前で社長が刺された。その事実だけでも会社の看板を揺るがすには十分だ。そこへきて向田も事件を抱えている身だ。好奇の目で見られることは間違いない。そこへ警察の捜査の手が入り、マスコミが騒ぎ立てれば、ますます自体は悪化する。刺客の被害を受けるのは徳川と向田にとどまらなくなる。会社の命運と社員の生活がかかっているのだ。故に向田は徳川を連れ帰って梶木など身近な人間の手に委ねた方がいいと無意識のうちに判断したのだろう。
 一人を守ることで全体を守ることになる。この判断は向田がバイク事故に始まる一連の事件の中で身につけてきたものだとは、梶木には思えなかった。もともと向田が生活環境の中で身につけてきたものなのだろう。
 梶木は横目で向田を見ながら、
「普通の者なら無理だよ。救急車を呼べれば上等なくらいだ」
「はぁ」
「しかも外車だぜ?左ハンドルの」
「あ・・・オレ、仕事で海外にいたから・・・」
「なぁんだ。そう」
 梶木は治療道具の詰まった鞄の口金をバツンと閉じた。
「それにしてもヒロさん、救われたぜ。一緒にいたのがきみでさ。きみが止血をちゃんとやっていたから、ヒロさん助かったんだぜ。素晴らしい。治療の手伝い方も手際が良くて感心したよ。ブラボーだ。向田くん、ぼくの助手にならないかい?」
 梶木はニッと笑って親指をつき立てて見せた。身体は小さいが肝は相当大きいようだ。徳川が負傷したというのに余裕で笑っている。そもそもこれくらい肝が据わっていなければ外科医師などやってはいられまいが。
「あ、それにさ。ぼくの携帯番号がよく分かったね」
「あ・・・はい。ヒロさんの携帯には絶対入ってると思って」
 徳川の携帯電話は上着のポケットに入っていた。建物から出る寸前に、徳川は向田に上着を預けていた。これが幸いした。徳川が上着を着たままだったなら雨に濡れて携帯電話は機能しなくなっていたに違いない。それを思っただけで向田は鳥肌が立った。命の恩人を、そうでなくとも大切で仕方のないひとを、また一人亡くしてしまうところだったのだ。
「ヒロさん・・・・」 
 向田は口の中で小さく呟いた。

*****

 徳川の傷を縫い終わってから、梶木は向田を浴室に行かせた。浴室から響いてくる水音を確かめてから、梶木は口を開いた。
『何度ぼくに傷を縫わせたら気が済むんですか?』
『・・・すまん』
 点滴のパックを取り替える梶木の様子を徳川の目がぼんやりと追った。
『チンピラの仕業じゃない。プロだ。殺し屋を雇って仕向けてきやがった』
『組織で動きますか。あなたの命令で即座に動ける者が数名いますが』
『いいや。組織は動かさない』
 梶木はそうですかと吐息のように呟いた。
『どこから情報が漏れて紅竜會に伝わったようです。木庭が飛び出して行ったそうですよ。殺し屋を殺しかねない勢いだったとか』
『尾張ヤクザは?殺っちゃいないだろうな』
『尾張ヤクザ?聞いていませんが』
 徳川はしまったという表情になったが、もう遅い。
『嶋村がつかまえて屋敷に監禁している。殺られる前に引き取りにいくはずだった』
『そりゃあ・・・権藤親分がさせないでしょう。吐かせるためにタコ殴りにはしたでしょうけど』
 しかしと、梶木は付け加えた。
『尾張者が二派いたと考える方が無難かもしれませんね。一派は嶋村たちに捕まるほどマヌケ。もう一派は殺し屋を使って己の手を汚さないことを知っている利口な連中だ。このご時世に、殺し屋を雇う金に不自由していない』
『よほどでかい会社か組か・・・そのうち弓削さんが何か掴むだろう』
 梶木はそうですねと同意した。
『念のため懐音さんには加藤くんをつけました。掃除屋も動かしました。会社に血の跡を残したままというわけにはいかないでしょう。BMWはしばらく預かります。運転も無理でしょうし。これはぼくの一存でやったことです。あとの処分はなんなりと受けますよ、チーフ』
『・・・・任せる』
 徳川は小さく唸って目を閉じた。
『松院は?』
『さっきまで手伝ってくれていました。今、身体を洗わせています。怪我はないけれど、彼も血だらけだ』
『怪我がない・・・そうか・・・』
 徳川は目を閉じたまま、ほぅと吐息を漏らした。

****

 梶木は向田の腕にぽんと触れた。
「じゃあ、点滴針の抜き方を教えるから」
「はぁ?!」
 向田がびっくりして顔を上げた。
「シッ!」
 梶木が人差し指で『静かに!』と示した。向田は声のトーンを抑えて
「梶木先生、ついててくれるんじゃないの!?」
「ごめんね。明日、大きな手術を控えているんだ。急いで戻らないといけなくてさ。マジ、ごめん。松院くんを見込んで教えるんだから、しっかりやってくれ。な、頼む」
 向田は不安そうに眉を寄せていたが、大きく息を吐いて迷いを吹っ切った。
「解かりました。いいです。オレ、やります」
今の徳川には自分しかいないのだという自負が向田を大きく動かしたのだった。

 梶木が帰ってから、向田は引き戸の隙間から時々徳川の様子を観察した。部分麻酔のお陰で痛みを感じないのか、徳川はよく眠っていた。梶木の話では、徳川の背中の刺傷は深いらしい。傷が開かない状態になるまで一週間はかかるだろうと言っていた。
 点滴が終わるころを見計らって、向田は徳川の傍らにそっと座った。点滴の落ちる速度を調節するローラーをしっかりと絞って液の動きを止める。それから針を止めているテープをそっと剥がす。針が動く状態になったら、針の刺さっている部分に消毒綿を乗せて、腕とは水平になるようにさっと針を引き抜く。引き抜くと同時に肘を折り曲げて一段落だ。
 肘を折れた徳川がうっすらと目を開けた。
「ちょっと動かないでいてね」
 向田は優しく語りかけた。徳川は頷く代わりに再び目を閉じた。
 抜き取った針を点滴パックのゴム栓に突き刺し、チューブをぐるぐる捲きにしてビニール袋に入れて口を縛った。こうすれば針が刺さる心配がない。向田は徳川の肘を伸ばさせて、針の痕に正方形の絆創膏を貼った。
(これでよし)
 向田が夏布団をかけなおしてやっていると、徳川の口が『悪いな』と小さく動いた。
「オレ、ついてるから。安心して眠って」
 向田は徳川だけに聞こえるように優しく囁いた。
 それから後も、向田はリビングのソファから隣室の徳川の様子を見守り続けた。


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