オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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1 秋袷(あきあわせ)(3/5)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第1章 秋袷(あきあわせ)(3/5)

<プチ余談>
 寸止めです。寸止め。(^_^;)

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。

「ショウ」
 愛称で呼ばれて、松院は一層きつく抱き締められた。
「もうどこへも行くな」
 掠れたような声だった。徳川の腕の中で、松院は堪えていた涙が抑えられなくなった。暖かい涙が頬を伝う。
松院は徳川の背中をゆっくりと撫でた。広い背中。松院は知っている。この背中には鬼の面が潜んでいるということを。
 首筋に口髭と吐息が触れて、松院はぞくりとした。口づけ一つも交わしてはいないのに、身体が熱くて頭の芯が痺れたようになっている。自分にこんな反応をせるのは、徳川しかいない。
 徳川が松院の耳元で囁いた。
「気持ち、変わったか?」
「え?」
「俺は変わっていない」
 言葉の意味を解した松院は小さく頭を振って『オレも』と応えた。
 変わるはずがない。圧倒的な存在感で、こんなにも暖かく包み込んでくれる存在は、徳川しか知らない。
 徳川が上半身だけを離した。指先で松院の頬に触れてくる。そんな軽いタッチだけで松院は心臓がどきどきした。一ヶ月以上のブランクがあるなどと気にしていた自分が恥ずかしく思えてくる。
 徳川が親指の腹で松院の唇を撫でた。松院は徳川の瞳を見詰めた。
「触れたら・・・欲しくなった。いいか?」
 くすぐったくなるほど優しい視線が松院に向けられていた。松院は素直に嬉しいという表情を浮かべて徳川の瞳を真っ直ぐに見詰めた。
 徳川が顔を寄せようとすると、松院はパッと表情を変えてそれを両手で阻んだ。
「ちょっと待って。オレ、汗臭いし、排ガスでドロドロだし」
 すると徳川はまた松院の耳元で囁いた。
「じゃあ、洗ってやるよ」
ストレートに言われて松院は真っ赤になりそうだったが、言われるがまま、徳川に従うことにした。

 徳川が着ていたワイシャツを脱ぎ捨てた。肌着代わりに着ている白いTシャツが厚い胸にぴったりと張り付いている。ジーンズメイカーの広告に出てきそうな、実に男っぽい姿だ。それに引き換え松院は、貧弱ではないにしろ、細い筋肉の取り巻いたスレンダーな体型だった。
 着衣をすべて脱ぎ落としてバスルームに入る。男二人でやることじゃないと、松院は自分で自分に突っ込みを入れてみるが、徳川の魅力には敵わない。シャワーの水温を適度に調節した徳川が『おいで』と手招きすれば、松院は素直に従ってしまう。
 シャワーの水流の下で二人は抱き合った。濡れた肌がぴったりと密着する。
 松院は徳川の背中から肩口を弄った。徳川の胸に埋めていた顔を上げる。
「ヒロさん、背中見せて。背中の傷がどうなったか、見てみたい」
 徳川が松院に背中を向けた。右の肩口。ナイフで刺された傷跡があるはずだ。
「あ・・・綺麗になってる」
「たっちゃんがやってくれた。彫り物の線と重なるから放っておいてもさして目立たなかったんだが」
 松院は徳川の背中全体を眺めた。
血の色をした曼珠沙華と般若の面――悪鬼と化した女の顔。
 彫り物の般若がこちらを睨み上げている。
初めて対面したときも、そして今も、松院には怖いとか気味が悪いとかいう感覚は不思議と湧いてこなかった。それは、般若の表情が怒りよりも言い知れない女の悲しみを滲ませた表情をしているせいかもしれない。
 松院はぞくりとした。
 その背中に鬼の面と、底なしの暗い穴を潜ませている男に自分は抱かれようとしている。
 松院は徳川の背中に額を押し付けて胸に両手を回した。
「オレ、やっぱりヒロさんが好きだ・・・」
 徳川は目を閉じて、胸に回された松院の手に我が手を重ねた。
 松院は仏の子。己のごとく悪鬼そのものような男が触れることなど適わない尊さと純粋さを兼ね備えている。だからこそ惹かれた。こうして肌を摺り寄せ、躊躇いもなく好きだと訴えかけてくる松院がたまらなく愛しかった。愛しさ余って骨まで喰らい尽くそうとする己の浅ましさ。己の有様を嫌悪しながらも、もうどうすることもできなかった。
「松院」
 徳川は名を呼んで振り返ると、熱い水流の下で仏の子の唇を貪った。

 徳川の書斎。
 二人分の重みを受けて、簡易な造りのベッドがぎしりと音を立てた。
「ヒロさん、ベッドは嫌いだって言わなかった?」
「まぁな。ここじゃ不満か?」
 松院は『ううん』と首を振って徳川に抱きついた。ベッドに寝そべった徳川の上に重なって、松院はうっとりと瞼を閉じた。
「オレ、今、すっごい幸せ。ホッとする・・・」
 徳川の大きな手が松院の背中に回される。背中から腰へと、暖かい掌が優しく移動していく。合わせた胸は、既にしっとりと汗ばんでいる。
「少しふっくらしたか?」
「当たり。2キロくらい太った」
「おまえはあと5キロくらい増えてもいい」
「そうかなぁ」


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ゆずぶろ【2008/05/04 20:57】





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