オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
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3 野分(のわき)(3/9)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第3章 野分(のわき)(3/9)

<余談>
BMW・ALPINA・B3は徳川のセカンドカーです。
運がよければ街中でも、たまーに見かけることができます。
車体の側面に金色のラインが入っているので見分けられますよ。

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください


 徳川が帰宅すると、リビングルームのTVがつけっぱなしになっていた。革張りのソファの上には毛布の塊が一つ。
「ただいま」
 声をかけたが返答がない。眠っているのかと、徳川はTVの電源を落とした。闇の中で毛布の塊がごそりと動いた。
「起きていたのか」
「うん・・・・」
 徳川は松院の隣に腰掛けた。
「ショウ。さっきは悪かった。雰囲気を読まれちまったかな」
「ん・・・まぁね。オレ、居ない方がよかったんでしょ?」
「ああ」
 短い沈黙。
「あのひと、誰?」
「そのうち話す」
「そう」
 徳川は松院に顔を向けた。闇の中、うつむいた松院の横顔が映った。綺麗な細面のシルエットが闇に浮かんでいる。
「ショウ。おまえに頼みがある。おまえにしか頼めない」
 松院が徳川に顔を向けた。徳川の真摯な視線。いつになく真剣な表情の徳川がそこに居た。
「・・・何?」
「俺といっしょに来て欲しい」
「いっしょに・・・どこへ?」
「明日、話す」
「・・・・解った」
 徳川は松院の身体を抱いた。松院は嫌がりもせず、素直に身体を摺り寄せてくる。愛しさが徳川の胸を締め付けた。
「ショウ。明日は・・・ごめんな」
「何が?・・・・あ」
 徳川の腕の中で松院は『否』と首を振った。松院の誕生日は明日だった。
「埋め合わせは、きっとする」
 松院は無言で徳川に顔を寄せた。闇の中、引き寄せられるように唇が重なる。冷たい唇。短いキス。
 松院は徳川の胸に顔を埋めて背中に腕を回した。広い背中。綾織の上等な生地の感触。
鬼の面を潜ませた男の背中――
 鬼の、我が身を喰らわば本望と、仏の子は瞼を閉じてすべてを預けた。

***

 翌朝。まだ暗い中、BMW・ALPINA・B3の白い車体がマンションのガレージから姿を現した。早朝の街に乾いたエンジン音が響く。
 白い車体は幹線道路を南西に向かって走っていた。
 松院は徳川に問うた。
「どこに行くの?もう教えてくれたっていいでしょ?」
「じきに分かる」
「・・・・」
 徳川はバックサイドビュー・ミラーを見た。気になる車が一台。付かず離れずの距離を保っている。仕掛けてくる様子はない。
 そのうちに徳川のBMWはターンパイクの流れに乗った。松院は助手席から道路標識を確認した。
(小田原・厚木道路か。ってことは箱根に行くのかな?)
 松院の心にちょっとした疑いの念が頭をもたげていた。徳川は芝居を打っているのではないか、と。自分を不安にさせて、反応を窺っているのではないか、と。
 前の事件のとき、松院は徳川には別の顔があるということを知った。背中の刺青が指し示すとおり、徳川は以前『組』に籍を置いていた。徳川に一般人にはない『迫』があるのは、そのためだ。
 だから松院は考えずにはいられないのだ。昨日、香奈の店で会った白皙の美丈夫と徳川は本当に単なる古い知り合いか何かで、たまたま居合わせた自分が慌てた表情を見せたから、徳川は面白がって芝居を続けているのではないか。そして芝居のオチは、箱根の宿で誕生ケーキが待っていた、なんてことではないのだろうかと。そう考えると、まぁ付き合ってやろうじゃないかという気になった。
 東の空が明るくなってきた。
 徳川は荻窪でターンパイクを降りた。それからしばらくは国道を走っていたが、途中から脇道に入った。
「飛ばすぞ。しっかり掴まっていろ」
 BMW・ALPINA・B3が乾いた咆哮を上げた。急勾配の上り坂を一気に駆け上がっていく。
 助手席で、松院は無言で固まっていた。自分もNinjaで無茶な運転をすることがあるが、徳川の運転はそれどころのレベルではなかった。さして幅員のあるわけでもない二車線の道路を目一杯に使って突っ走る。対向車の心配なぞしていない様子だ。ヘアピン・コーナーが迫ってきた。リヤタイヤが横滑りをするギリギリのラインで踏ん張っているのが、助手席の松院にも分かった。FRを採用している車に独特のフィーリング。
 ヘアピン・コーナーを抜けたところで徳川が舌打ちをした。彼の視線はバックサイドビュー・ミラーに向いていた。
 徳川が後続車を気にしているということに、さすがに松院も気付いていた。右のドアミラーで後続車の姿を確認する。白い小型のスポーツカーが見え隠れしていた。松院はぎょっとした。
(この運転について来てるってぇ?冗談だろ・・・)

=====
See you next time!

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ゆずぶろ【2008/05/18 19:52】





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