オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
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3 野分(のわき)(9/9)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第3章 野分(のわき)(9/9)

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。

<かなり余談>
OCNシアターで『トランスフォーマー(実写)』を視聴。
WOW!GREAT!!なんて手を叩いて大はしゃぎしていたら、こっちのUPを
忘れていました・・・(-_-|||
こんなワタシですが、連載の最後までよろしくお付き合いください。
も。ほんと。お願いします。


 徳川は横浜市内に戻って、会社で残務を片付けていた。大抵のことは事務員の本多がやってくれるのだが、社長業の部分はきっちりと一線を引いてある。
 徳川は、自分のデスクがあるラインだけ蛍光灯を点けて、書類に目を通していた。六割くらい書類が片付いたとき、携帯電話の着信音が響いた。昔の刑事ドラマのテーマだ。
「はい、ヒロです」
『ああ、おれだ』
「おれだ、で判るのは弓削さんくらいのもんですよ」
 電話の向こうで弓削が笑った。
『今、どこだ?』
「会社ですよ」
『なんだ。定休日じゃないのか?』
「よくご存知で。残務整理ですよ。で、ご要件は?」
 弓削は咳払いをしてから、
『電話賃がかかるから、そっちに行ってもいいか?今、会社の近くまで来てるんだ』
「いいんですか?重役がサボって」
『やーかましい。こいつも仕事のうちだ』
 お待ちしていますよと笑って、徳川は電話を切った。
 十分も経たないうちに弓削はやって来た。徳川は弓削のために茶を煎れた。熱くて濃い緑茶が、弓削の好みだ。
「社長さんに茶を煎れてもらうなんて、滅多に無いこったな」
「定休日に刑事が訪ねて来るってことも滅多にないですよ」
 徳川の切り替えしに、弓削は笑って湯呑の茶を啜った。
「今日、ここへ来たのは他でもない。あの事件が一気に動いたんで、おまえさんにも知らせようと思ってな。ほら、あのマツボックリの事件だよ」
「マツボックリって・・・松院のことですか」
「元気にしとるんだろうか」
「ええ。うちで雇ってますよ」
「ああ?」 
 弓削は怪訝そうな顔をした。徳川は弓削に煙草を勧めた。
「言ってませんでしたか」
「聞いてねぇよ」
 徳川が差し出した火で弓削は煙草に火を点けた。ゆらりと紫煙が立ち昇る。
「あの事件なぁ、バックにいたのが韓国人マフィアだったんだよ」「ええ、知ってます。あの頃は一時的に派手に報道されて、TVで特集を組んだりしていましたよね」
「ああ。あんときゃ凄かったな」
「それで?」
「殺られたんだよ。とあるマフィアの親分がね。連中、こういった情報は隠しやがるから、はっきりとは言えないんだがね。おれは、殺られたのは、マツボックリの弟を殺った元締めだと踏んでる」
「そんな情報、どこからもらったんです?」
「おれの同期が偉いさんになってるんでね」
 徳川は無言で小さく頭を動かした。
 弓削は灰皿の上で煙草を弾いて灰を落とした。
「誰がやったか知らねぇが、ああいう新手の連中を潰してくれると助かる」
「刑事が殺人を容認してどうするんですか」
「海の向こうのことまでは知らねぇよ」
 弓削は煙草をねじ消して、残りの茶を一気に飲み干した。
「ま、事件が解決したってわけじゃないが、一区切り付いたってことだ。マツボックリにはおまえから話すか?捜査本部の武原に連絡させてもいいが、どうする?」
「折を見て、俺から話しますよ」
「そうしてくれるか」
「はい」
 
 弓削が出て行ってから、徳川は応接セットで煙草を燻らせながら物思いにふけっていた。
(まさか、この情報を弓削さんの口から聞かされるとは思わなかった。蛇の道は蛇というか、同じ穴の狢というか・・・)
 加藤蒼士の奪還作戦を実行に移すタイミングを計っていたときだった。ターゲットにしていたコリアン・マフィアの首領が殺害されたのだ。当然だが、ファミリーは動揺した。この好機を逃す手はないと、作戦を実行に移した。作戦は成功した。蒼士が命掛けで持ち帰ったマイクロチップも、解析が進んでいる。この情報を元に、大陸から日本に及ぶ武器の密輸ルートの一端を叩き潰すことができるだろう。
 しかし、徳川には引っかかっていることがあった。箱根の別荘で海棠から得た報告だった。
(援護されていたと、考えるべきなのか?絶妙なタイミングでボスが殺された。作戦実行の日も、追撃は皆無に等しかった)
 徳川は首をかしげた。徳川が属している組織では、一つの事件に二人のエージェントが絡むことは絶対にない。また、別口で何者かが動いたにしても、タイミングが良すぎるというものだ。
(本部がよこした捜索犬はベン=ハーだったと言うじゃないか。普通じゃ考えられん。普通では・・・・)
 ベン=ハーは、徳川が属している組織の統領が飼っている犬だ。徳大サイズのジャーマン・シェパード・ドッグで、並外れて利口な犬だった。
 そして。徳川には何より気にかかることがあった。
 あの男だ。すらりとした白い立ち姿。挑戦的な微笑み――
(何故、あいつが日本にいるんだ?)
 俺の知ったことかと、徳川は煙草をねじ消した。

***

 その頃、『彼』はホテルの一室にいた。窓辺に立って、受話器を片手に横浜の夜景を眺めている。
『・・・ああ。今は日本だ。もうしばらくは、こちらにいる』
 夜鏡に映った己の顔。その奥にあるのは百万の夜景と底なしの闇。


 交わされた密約は、闇に消え行くのみ――
 
=====
See you next time!

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連載小説『黍嵐』の19話目を掲載しました。 (このページではなく、小説掲載専用ブログ『オヤジスキーどもの穴』に掲載しています。) ...
ゆずぶろ【2008/05/24 22:58】





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