オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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4 白菊(しらぎく)(1/8)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第4章 白菊(しらぎく)(1/8)

★本日から第4章のスタートです!

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。

 蒼士の健康回復を部下と松院に託して、徳川は普段どおり社長業をこなしていた。無論、箱根の別荘にいる彼らとは定時に連絡を取っていて、緊急の場合には携帯電話に一報が入ることになっている。松院を箱根の別荘に連れて行って以後、緊急連絡と称する電話はなく、それは蒼士が危篤状態を脱したことを意味していた。

 アルバイトの純子が社長席の前にやって来た。一時間の残業を終えて退社するところだった。
「じゃあ、先に上がらせていただきます」
「ああ。お疲れさん。彼氏は迎えに来てるんだろ?」
「あ、はい」
 純子はにっこりして、そそくさとロッカー室に入っていった。
 徳川は事務所の窓辺に立って、純子と彼氏の後姿を眺めた。手をつないで仲良く歩いていく。徳川は紫煙を燻らせながら、このまま二人はいい夫婦になって幸せな生活を営んでいくのだろうと思った。
 彼らの安全と幸福を守るため。
 そんな大義名分は己には似合わないと思いながら、徳川は、もう何年もこの二重生活を続けている。

 服役中に引き合わされた、謎の男。真っ白な髪。灰色の静かな瞳。
 圧倒された。釘で打ち付けられたように、身体が動かなかった。
『ヒロよ。わたしと一緒に来ないか?』
 男が語ったのは、その一言だけ。多くを語らずとも、その圧倒的な存在感を前に、どうして『否』と言うことができただろうか。

 街灯が映し出す街の風景をぼんやりと眺めながら、徳川が二本目の煙草に火を点けようとしたときだった。携帯電話が着信を告げた。見慣れない番号だった。
「はい?」
『Hiro, You smoke too much.』
 吸いすぎだと言われて、徳川は一瞬動きを止めた。それから気を取り直したように、煙草を銜えて火を点した。
「Where are you?」
 徳川はどこにいるのだと問うた。
『スコープ越しにあんたを見てる』
「風穴を開けようってのか?」
『依頼があれば』
 徳川はフンと鼻を鳴らした。
「何故、俺をつけ回す」
『ひとを探している』
「誰を?」
『ソウシ=カトウ』
 その名を聞かされても、徳川は表情を動かさなかった。
「それがおまえのターゲットか?」
『あいつが任務で出向くなら、日本か韓国と相場は決まっている』
「知らん、と言ったら?」
 電波の向こうで、彼がフンと鼻を鳴らした。
『ヒロ。“友人として”一つ忠告しておく。あの子の扱いを間違うなよ』
「なんだと?」
『扱いを間違うな。それだけだ』
 徳川は紫煙を吐きながら煙草をねじ消した。
「それは、あんたを怒らせる結果になるという意味での忠告か?」
『May be.』
 かもな、と彼は言った。そして、
『仮にあんたがソウシ=カトウを手中に収めているとして、伝言を頼まれて欲しいのだが』
「伝わらないかもしれないが、何だ?」
『飼い犬がおまえの帰りを待っていると伝えてくれ』
「飼い犬?あんたのことか?」
 電波の向こうで、彼が『かもな』と笑った。
「I see. I’ll tell him what you said.」
 伝えておくよと言って、徳川は電話を切った。
 

 マンションに戻ってから、徳川は松院の携帯電話にメールを入れた。可能であれば電話をして欲しいと。
 5分と空かず、着信音が響いた。
『どうしたの?』
「いや。蒼士の様子はどうだ?」
『うん。まぁまぁかな』
「飯は?」
『まだダメ。吐き気がひどいみたいで。メト・・・ナントカって薬で抑えることもできるって、美峰先生が言ってたけど』
「そうか。おまえは大丈夫か?」
『うん』
 僅かの沈黙。
『他に・・・何かあったんじゃないの?』
「いいや。おまえの口から直接聞きたかったんでな。明日、そっちへ行く」
『解った。あ・・・っと、美峰先生が代わるって』
 電波の向こうで声の主が代わった。
『お話を邪魔してごめんなさいね、チーフ。あたくしも馬に蹴られたくはないのですけれど、仕事ですので』
 徳川がお気遣い無くと言うと、
『達矢くんに言って、加藤くんのカルテか履歴を早急に取り寄せてくださいません?今後の処置のこともありますから』
「ああ。申し訳ない。うっかりしていました。たっちゃんに確認しておきます。ちなみに蒼士が復帰するまで、どれくらいかかりそうですか」
『そうねぇ。一ヶ月はかかるでしょうね』
 徳川は電話を切ってから、松院におやすみを言い損ねたなと思った。

 一ヶ月。その間『彼』は自分を見張り続けるつもりだろうかと、徳川は考えた。
 結論は『否』だった。
 新たな依頼があれば、『彼』はターゲットの居る国に飛ぶ。それだけのことだ。
(それまでだ。それまで蒼士のことは絶対に知られてはならない)
 徳川は苦い表情を浮かべながら、銜えた煙草に火を点けた。
 
=====
See you next time!

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この記事に対するコメント

こちらには初めてコメントさせていただきます。
こそこそ読んでましたが、ようやく追いつきましたw

やっぱりハードボイルド系もいいですよねえ。
いいなあ…。←無節操なのでオールジャンルなんですよ私…。

続き楽しみに待っています。

【2008/05/27 23:17】 URL | sin #- [ 編集]


はにゃ〜〜
コメントありがとうございます〜v

こういうのを『固ゆで卵』というのかどうか、実はしっかり考えたことがなくて(苦笑)
深刻に考えないまま、『ハードボイルド系』なんてゆーてますが・・・・

ちなみに最初の連載『白煙』もお読みいただいてますか?
1話完結なんですが、こっちから読んだほうが分かりやすいと思うので・・・

【2008/05/28 20:33】 URL | ユズカホル #- [ 編集]



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