オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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4 白菊(しらぎく)(3/8)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第4章 白菊(しらぎく)(3/8)

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。

<余談>
今日はもう掲載できないかと覚悟していました。
午後からいろいろあったもんで・・・・(-_-; ふぅ〜
 その頃、松院と海棠はウッドデッキに居た。日当たりが良いので暖かい。コーヒーを飲みながらも眠気を催したのか、松院が大きな欠伸をした。立て続けに欠伸をする松院を見て、海棠が笑った。
「眠いですか?」
「ちょ〜っとねぇ・・・ゆうべ、あんまり寝てないし」
「今夜はあたしが代わりましょうか?」
「いや、大丈夫。明るいうちに、ちょっと寝るわ」
 松院は、夜毎うなされている蒼士に付きっ切りだった。ベッドに横になって闇の中に居るという状況が、蒼士には言い知れない不安となっているようだった。ベッドを抜け出し、部屋の隅で身体を硬くして縮こまっていることが何度もあった。松院は蒼士の冷え切った身体を抱いて、彼が落ちつくまで辛抱強く待った。上手く宥めすかすことができれば、ベッドに戻って添い寝をしてやった。しかし、そのまま毛布に包まって床で寝ることも多かった。
 コーヒーを飲み終わってから、松院は蒼士の様子を窺いに行った。蒼士はベッドの上に起き上がっていた。
「おっ!起きてンじゃん」
「うん。気分が良いときには起きる練習もしなくちゃね」
「へぇ。偉いじゃん」
「ヒロさん、来てるんでしょ?」
「耳聡いなぁ、おまえ」
 蒼士が目元にだけ、ほんの少し微笑を浮かべた。
松院はベッドサイドの椅子に腰掛けた。
「蒼士。気分が良いんだったら、風呂に入ってみるか?身体を拭いてるだけじゃ気持ち悪ィだろ?ここ、温泉も引っ張ってあるんだぜ」
「うん」
 短く答えて、蒼士はふと睫を伏せた。松院は慌てて付け加えた。
「あっ、別に一人で入れって言ってないぜ。オレが背中とか流してやっから。なっ?」
 蒼士が松院に視線を向けた。
「しょうちゃん。僕、ヒロさんと話した方がいいよね。ヒロさんと直接・・・・」
 蒼士がひどい錯乱状態にあったときのこと。徳川を見て、蒼士は悲鳴を上げて暴れた。理由は何にせよ、徳川の存在が、蒼士に刺激を与えたのは明らかだった。だから松院は、入浴のことを持ち出して、蒼士の注意を徳川から逸らそうとしたのだが――
 松院は伸ばしかけの茶色い髪を軽くかき上げた。
「どーしても会わなきゃならないんだったら、会ってもいいと思うんだけど。でもさ、放っておいてもあのひと、また来るだろうし。今日じゃなくてもいいんじゃねぇの?」
「ん・・・・」
「気乗りしねぇのに、無理して会うことねぇだろ?まぁ、蒼士にとっては上司とかそういうのに当たるんだろうから、気だって遣うんだろうけど。放っとけって。あんなヒゲオヤジ」
 松院は椅子からちょっと身を乗り出した。
「あのさ、蒼士。これ、全くオレだけの考えなんだけど・・・怒んないで聞いてくれる?」
 蒼士が頷いた。
「今、オレが言ったみたいな理由で会いにくいのかな?その・・・仕事だか任務だかで、上司に迷惑かけちゃったから、今は何も訊かないでくれ〜って感じで。違う?」
 松院が小さく首をかしげると、蒼士も小さく頭を動かした。
「無い・・・とは言えない。僕がヘマをやって、海棠のチームに助けてもらうハメになってしまったんだから。恥ずかしくて、穴の中に隠れていたい気持ちもないわけじゃないけど、僕は今回の任務に関して、報告をする義務がある。情報チップだけじゃ、不足があるし・・・」
 松院が短く吐息を漏らした。
「ごめんな。弟のことで、おまえがこんな目に遭っちまうなんて」
「違う。清真さんのことは、また別物だよ。しょーちゃんまで凹まないで。ね」
 蒼士の青白い顔に、ほんの少しだけ笑みが浮かんだ。痛々しい微笑みに、松院は胸の詰まる思いがした。
 蒼士は再び睫を伏せて、包帯の巻かれた両手首に視線を落とした。
「あの・・・ね。ヒロさんに会いたくないわけじゃないんだ。でもまた自分がおかしくなっちゃうんじゃないかって思って、会いきれないんだ。ヒロさんは、違うのに」
 蒼士は、以前に半狂乱になったときのことをわずかながら記憶しているようだった。
「薬のせいで混乱したんだ。蒼士が気にするこっちゃないだろ」
「違う・・・・違うんだ。そうじゃなくて・・・」
 蒼士は両手で顔を覆うような仕草をした。表情が引きつっている。両手首を傷つけ、筋の腫れも引いていない状態なので、指先を動かすだけで痛みが走るのだろう。
「そうじゃないんだ。憶えてるんだ。僕を・・・僕をベッドに縛り付けて・・・薬を打って・・・・最後は薬で殺そうとした」
「・・・・っ」
 松院はヒヤリとした。記憶が蘇り、蒼士がまた半狂乱になるのではないかと恐れた。蒼士の精神状態が急変しても対応できるように気構えながら、松院は言葉を選んで話しかけようと思った。心中に重苦しく抱えているくらいなら、いっそ吐露してしまった方が楽になることもある。話そうとしているのなら、そのまま話させてやるのも、心の治療になるだろうと踏んだのだ。松院は短時間で脳ミソをフル回転させた。そして、あるキーワードに行き着いた。
「蒼士。頷くだけでいいから、答えろよ。いいな」
 松院は蒼士の顔を覗きこんだ。
「そいつ、髭のある奴なんじゃ・・・ないのか?」
 少し間をおいて、蒼士が小さく頭を動かした。松院はホッと吐息を漏らした。
「解った。よく答えたな。ありがとう」
 蒼士は両手で顔を拭うような仕草をしきりと繰り返し始めた。肌に付着した不快なものを払おうとしているような仕草だった。
「憶えてるんだ。声も。ずっと耳に残って・・・・」
「特徴とか、あったか?ええと・・・日本語で言いにくかったら、英語でもいいぜ」
 蒼士は小さく頭を動かして、何度も頷いた。
「東部訛り・・・・口髭が触れてきて・・・僕は嫌だって」
「蒼士!もういい!」
 松院は立ち上がって蒼士を抱き締めた。蒼士の黒髪に頬を摺り寄せながら、何度も髪を撫でてやった。松院の腕の中で蒼士は咽び泣いた。
「ごめんね、しょーちゃん。ヒロさんじゃないって解ってるのに。ヒロさんじゃないのに。なのに・・・駄目なんだ。怖いんじゃなくて・・・何て言ったらいいんだろ。おかしいんだ、僕・・・」
「解った。解ったから、もういい」
 松院は奥歯を噛み締めた。怒りのあまり、身体が震え出しそうだった。蒼士を、この可愛い弟を、こんなにひどい状態にした下種が居る。世界の何処かで、のうのうと暮らしている。それが堪らなく許せなかった。

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See you next time!

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ゆずぶろ【2008/05/30 00:08】





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