オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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4 白菊(しらぎく)(6/8)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第4章 白菊(しらぎく)(6/8)

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。


<余談>
身長193cm VS 身長160cm
これを念頭に置いて読んでいただけると、この節は結構笑えると思います。
ワタシはこの節が好きなんですよ(*^_^*)

 総合病院の待合室。そこはいつにも増して賑わっていた。季節の変わり目ということもあって、風邪が流行っているようだった。
 受付カウンターの前に長身の男が立ちふさがった。セーターの上にコートを引っ掛けて、背中には編んだ髪を一本垂らしている。
「Excuse me. I want to see Dr.Kajiki.」
 カウンターの中にいた受付嬢は、男を見上げたままぽかんとしている。無理もない。外国人慣れしていない上に、目の前に立っているのは俳優クラスのルックスを持つ男なのだから。洋の東西を問わず、女性であれば当然の反応だった。
 男は首をかしげた。
「Well…Dr.Kajiki. Do you know him?」
 受付嬢は目をぱちくりした。
「えっ・・・と・・・梶木先生のことかしら?ねぇ、どう思う?」
 彼女は後ろに居た薬剤師に同意を求めた。
「ドクター・カジキって言ってるから、そうなんじゃない?」
 カウンターの中はきゃあきゃあと、ちょっとした騒ぎになりつつあった。男は困ったなという表情になった。それから思いついたように、コートのポケットに手を突っ込んだ。
「Like this!」
 これに似ていると、男が取り出したのは、岩跳びペンギンのマスコットだった。
 途端にきゃあっと黄色い声が上がった。
「やっぱり梶木先生よ!」
 呼ばれて、梶木がすっ飛んできた。
「Nikolai!!」
「Hi!」
 ハイじゃないよと毒づきながら、梶木は薬剤師に頼んだ。
「ごめん!忙しいだろうけど、コイツをおれの部屋まで連れてってくんないかな。これ、鍵ね。あとはコイツに渡しといて」
 彼女は『えーっ』と言いながらも嬉しそうだ。
 梶木の個室の前。彼女は『ここ』と、ドアを指差した。
 岩跳びペンギンの絵の付いた可愛らしい表札に『T.Kajiki』とある。
「ドモ、アリガト」
 長身の男はにっこりした。それから彼女の手を取って、先刻差し出したマスコットを掌に載せてやった。ありふれたマスコット人形だったが、白衣の彼女は小躍りしながらエレベーターホールへと消えていった。

 受け持ちの患者を診終わった梶木が大慌てで部屋に戻ると、長身の男は茶を煎れてのんびりしていた。
『おまえねぇ、勝手に・・・まぁいいや。グリーンティの煎れ方はミス・サユリに習ったのかい?』
 男は、そうだと応えた。そして梶木にも茶を煎れてくれた。
 梶木は湯呑の茶を啜ってから、アポ無しでいきなり来やがってとか何とか散々毒づいた。
『看護婦が騒いじゃって参ったんだから。梶木先生の肩のところに腰がありましたよね〜とか言われて。おれの立場も考えろ』
『タツヤはハンサムで性格もいい。医師としての素質も充分ある。みんながきみのことを好いている。無論、わたしも』
 ストレートに褒めちぎられて、梶木は照れてしまった。
『そ、そりゃどうも。で?こっちへは仕事で来てるの?』
『いいや。ヒロは何と言っていた?』
 梶木がふと笑った。
『きみが訪ねてくるだろうから、部屋の掃除をしておけってさ』
 男は部屋を見回した。
『なるほど。道理で片付いている』
 梶木はテーブルの上に身を乗り出した。
『あのさぁ、ニコライ。おれのところに来たって、無駄足だぜぇ。おれは、ヒロヤス=トクカワの部下なんだ。組織の戒律は、きみが一番よく解っていると思うんだけどな』
 男はちょっと肩をすくめて見せた。
『解っているさ』
 男は長い睫を伏せて、しばし考えてから口を開いた。
『タツヤ。イエスかノーかだけでいい。答えてくれ。ソウシ=カトウは日本に居るのか?』
『ソウシ=カトウ?』
『極東に居ることまでは分かっているんだ』
『きみのターゲットか?』
『それは言えない』
 梶木は真摯に目の前にいる男の瞳を見詰めた。碧海の瞳が見詰め返してくる。
『同業者として訊いている。答えてくれ』
 梶木は涼しい表情で僅かに頭を傾けた。
『同業者?アンダーグラウンドで仕事をしているってこと?それとも同じ外科の医者として?』
『どちらかと言えば後者だ』
『そう』
『タツヤ。友達だろう。答えてくれ』
 梶木は考える素振りを見せてから、上目遣いに男を見詰めた。
『他人に無頓着なきみが、ソウシ=カトウにこだわるのは何故?』
『それは言えない』
『もしかして、恋人?』
 男はふっと笑って『かもな』と言った。
『とても重要な人物だ。いろんな意味で』
 梶木は困った表情で笑った。
『外科医として、友人として、か。弱いところを突いてくるねぇ』
 そして梶木は、YESと答えた。
『おれが答えるのはここまでだ。意地悪をしているんじゃなくて、本当に答えられるのはここまでなんだ。チーフに口止めされているとか、そういうことじゃなくって。おれだって組織の一員としての意地とかプライドがあるからね』
『解っている。ありがとう』
 椅子に座ったまま、梶木は伸びをした。
『国に帰ってのんびり待ってりゃ、そのうち帰ってくるさ』
 そのとき内線電話を示す電子音が響いた。梶木は受話器を取った。
「はーい。梶木でーす。・・・急患?・・・うん、それで?」 
 梶木は状況を聞き終わってから受話器を置いた。
『ごめんよ、ニコライ。急患だって』
『そのようだな』
『右手の小指と薬指、機械に挟んでブッツリだってさ』
『それは痛がっているだろうな。繋ぐのか?』
『出来る限りね。これから手術かぁ〜。参ったね。早く上がって、きみと一杯やろうと思ってたんだけど』
『上の空で手術をするなよ』
『分かってるって』

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ゆずぶろ【2008/06/04 21:52】





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