オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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5 色葉散る(1/10)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第5章 色葉散る(いろはちる)(1/10)

本日から第5章のスタートです☆

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。


 松院は八畳の和室で横になっていた。熱は落ち着いたが、用心した方がいいだろうということでゴロゴロしていたのだった。
 何もせずに横になっているといろんな考えが脳裏を駆け巡るものだが、松院とて例外ではなかった。
 ニコライという名の、あの殺し屋のことが気になって仕方がない。そして、蒼士のことも。あの男は確かに蒼士のことを探しているようであり、また蒼士もあの男のことを気にしているようだ。そして二人の共通項に徳川がいて――
(引き合わせないようにブロックしている感じがする・・・蒼士があいつに狙われてる?いや、それっぽくないんだけどなぁ・・・)
 松院は起き上がって携帯電話を取り上げた。
「・・・海棠?今、大丈夫?」
 海棠は、熱はまだあるのかと尋ねた。
「今朝から下がってる。三十六度一分だぜ。信じらンないだろ?昨日の点滴が効いたみたい。身体も軽いし」
 すると海棠は、慣れた環境に戻ったせいもあるだろうし、ゆっくり休んでくださいと言った。
「うん、あんがと。えーっと、蒼士は起きてる?電話、代われそうかな?」
 海棠の、ちょっと待ってくださいねという声がブレた。電話片手に歩き回っているようだ。電波の向こうでゴニョゴニョと声がした。
『しょーちゃん?』
「急に電話してごめんな、蒼士。えーっと・・・ちょっと突っ込んだ話になるけど、大丈夫か?」
 蒼士は『了』と言った。
「あの・・・さ。おまえを監禁していた連中に、金髪で背の高い男がいなかったか?百九十センチくらいある奴」
 蒼士は、う〜んとうなってから、
『目隠しされていたから、判らない。でもアメリカ英語を話すのは一人だった』
 松院はそうかと応えながら、例の髭男に対する怒りが再燃しそうになった。松院は電話口で呼吸を整えた。
「あと一ついいか?おまえ、寝言で何か言っていて、ニコライとかいう名前が聞こえたんだけど・・・・」
『えっ・・・』
 会話が途切れた。電波に乗って、野鳥の甲高い鳴き声が運ばれてきた。松院は短く息を吸った。
「手短にスパッと言っちまうけど、同じ名前の白人がヒロさんに付きまとってる。梶木先生の所にも来た。これはオレの勝手な推測なんだけど、おまえを探してるんじゃないかって思ったわけ」
『・・・・・』
「蒼士。YESかNOかだけでいいから答えろよ?そいつ、ヤバイ相手なのか?」
 蒼士はNOと答えた。
「そうか。じゃあおまえ、そいつに会いたいか?」
 少し間を空けて、蒼士がか細い声で呟いた。
『・・・・会えない・・・』
「そうか。解った。もういいからな?なーんも考えないでゆっくりしてろよ?」
 そして松院は、海棠に電話を代わるように言った。すると蒼士は慌てた様子で、
『しょーちゃん待って!そのひと、まだ日本にいるの?』
 松院は、いるようだと答えた。
『僕のこと、知ってるみたいだった?僕がここにいるってこと』
「いいや。知らないみたいだ。オレも、いまいちピンとこねぇんだ。何かがズレてるっていうか・・・何か分かったり、動きがあったりしたら連絡する。じゃあ、海棠に代わってくれるか?」
 松院は海棠に、蒼士が精神的に不安定になるかもしれないと伝えた。そして、例の“殺し屋”の風体を伝えて、別荘周辺でも用心するようにと伝えた。

***

 総合病院の一角。梶木達矢の個室を、長髪で背の高い“彼”が再び訪れていた。
 空気が張り詰めている。“彼”を見た瞬間、梶木はそう感じた。
 梶木は何食わぬ顔をしながら白衣を脱いで、コート掛けに引っ掛けた。
『あのさぁ、ニコライ。何度来たって同じことだぜ』
『タツヤ。演技をするのは止めにしてもらおうか』
『だーから、おれは――』
 銃口を向けられて、梶木は短く吐息を漏らした。
『友達じゃなかったのかい?』
『昨日までは』
『組織の名において、話すわけにはいかないと言ったら?』
『組織の命を受けているのは、わたしも同じだ』
 銃口は梶木に向けられたままだ。
『ヒロの手札はこうだった。プレズィデント・セルジオの命により、新鋭の武器商人の元締めを掃討した。作戦には若手のエージェント数名を使った――』
 梶木は『それで?』というふうに手振りで示した。
『一人はカイドウ。そしてもう一人はソウシ=カトウ』
『当たってる』
 ニコライは、何かを思いついたような表情になった。
『ああ、いけない。一匹抜けた。大型のジャーマン・シェパード・ドッグがいたと聞いているが』
『カイドウが連れていたっていう犬かい?』
『利口な犬らしいな』
『チーフの話では、本部が提供したらしいけど』
『ああ。私が連れてきた』
『へえ――』
 軽く受け流そうとして梶木が固まった。徳川の口からは、そんなことは一言だって聞いていなかったのだ。
 ジャーマン・シェパード・ドッグが持ち込まれたのは、加藤蒼士の奪還作戦のときだ。その作戦は、極東ブロックの長たる徳川が指揮を執っており、現場で動いたのは海棠をはじめとする若手の精鋭が数名。俗っぽく言えば徳川の“兵隊”しか動いていないはずだった。そこに本部からのバックアップとしてジャーマン・シェパード・ドッグが派遣されたものと梶木は解釈していたのだが。
 しかし。
 本部から別口で“彼”が派遣されていたという。ジャーマン・シェパード・ドッグを連れてくるだけが使命であるはずがない。“彼”は組織でもトップクラスの狙撃手なのだから。
 組織の戒律では、一つのターゲットにAクラスのエージェントが複数関わることが禁じられているはず。その戒律を無視する形で、特Aクラスのエージェントが二名も動いていたとは・・・。

 梶木が固まったまま突っ立っていると、“彼”が付け加えた。
『タツヤ。ソウシ=カトウに忠実な番犬が、カイドウに手綱を引かれていたのはどういうわけだ?』
 カチリという音がして、拳銃の安全装置が外された。
『ソウシ=カトウはどこだ』
 梶木は両手を挙げて、しごく冷静な面持ちで口を開いた。
『分かった。おれの負けだ、ニコライ。そんなものを持ち出さなくても、ちゃんと話す。座れ』
 彼は拳銃を懐に仕舞うと、言われたとおり丸椅子に腰掛けた。

=====
See you next time!

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