オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
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5 色葉散る(2/10)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第5章 色葉散る(いろはちる)(2/10)

<注意>
 今日はちょっと“痛い”です。
 ちょっとだけですが・・・。

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。


 梶木は肘掛のあるデスクチェアを少し回転させて、彼の方に向き直った。
『組織の人間としてでもなく、またおまえの友人としてでもなく、一人の医師として話をするから。いいな?』
 彼は『了』と言った。
『ニコライ。落ち着いて聴けよ。今、ソウシ=カトウは療養中だ。作戦中に負傷したんだ。全治一ヶ月。これがおれと、もう一人の医師の出した結論だ。ソウシ=カトウは順調に回復している。過去の病歴を見たけど、体力的にも精神的にも強い人間のようだな』
 彼は小さく頭を動かして、先を促した。
 梶木はふいと視線を逸らすと、白紙のカルテを引っ張り出した。外傷の箇所を記入できるように人型が印刷されている。梶木はボールペンを取り出して、傷の種類や状態を説明しながら人型にしるしを付け始めた。
『外傷の箇所はこれだけだ』
『・・・両手首の傷は拘束痕か』
『ああ』
 梶木は、さすがに元同業者だけのことはあるなと思った。
『骨折は?』
『骨折はない。骨膜炎を起こして、腫れの引いていない箇所はあるけれど。治癒に時間がかかるのは親指の爪だな。綺麗に剥ぎ取ってしまったから、元どおりになるには1ヶ月以上かかる』
『そんなところだろう』
 梶木は小さく頷いて相槌を打ってから、
『ニコライ。彼が大事か?』
『何だと?』
『おまえにとって彼は大切な存在か?』
『ああ』
『何があってもそれは変わらないな?』
『もちろんだ』
 彼は前方にいる梶木に向かって、僅かに身体を傾けた。
『タツヤ。そんなことを尋ねるということは、彼の怪我がひどいということなのか』
『ああ。後遺症が残る恐れがある』
 彼の碧海の瞳が、梶木の黒い瞳をじっと見詰めている。
『これは、もう一人の医師の診断だ。ソウシ=カトウはモルヒネ中毒になっている。深刻さの度合いは、中程度以上』
『・・・・・』
『危機は脱した。本人の意思が硬くて、薬の魔力に引きずられることが無かったお陰で、副作用は解消してきている。錯乱を起こす頻度も減ってきたし、今では吐き気も治まって、少しずつだが食事も摂れるようになってきた』
 彼は瞼を伏せて小さく頭を動かした。
『ニコライ』
 梶木の呼びかけに、彼が瞼を上げた。
『問題はもう一つ。こちらの方が重大だ』
 梶木はペン先をカルテに印刷された人型の陰部に置いた。
『ソウシ=カトウは監禁されている間にレイプされている。身体の状態から言って、かなりひどい扱いを受けたようだ。モルヒネが使われた理由もそれだ。麻薬を使って痛みをごまかしながら、散々弄んだようだ。・・・・悪趣味にも程がある』
 梶木はボールペンを胸のポケットに仕舞った。
『精神的な面での完全治癒は、相当難しいと思う。ニコライ。きみにとって彼が本当に大切なひとだったら・・・・おい?』
 彼は左手で口元を覆ったまま、カルテを凝視している。
 梶木は彼の顔を覗きこんだ。
『・・・ニコ?おい?大丈夫か?』
 彼の指先がそれと判るほどに震えている。
『・・・・気分が悪い・・・』
『ニコライ?!おい、どうしたんだよ!』
 椅子から前のめりになって床に倒れこもうとする彼を、梶木は慌てて支えた。

**

 しばらく経って、彼が重たそうに瞼を上げた。視線が合うと、梶木はちょっと眉を動かした。
「Are you alright?」
 梶木が大丈夫かと尋ねると、彼は小さく頭を動かして応えた。彼は梶木が仮眠用に使っている簡易ベッドに寝かされていた。
『いきなり倒れンな、ばーか。それになぁ、自分の背丈を少しは考えろ。ここまで引っ張り上げンの、大変だったんだからな』
「…I’m so sorry.」
 悪態ついた梶木に対して、彼は素直に謝った。彼は頭痛を訴えるようにこめかみを押さえて、再び瞼を閉じて重い溜息をついた。
 梶木は、彼の空いている方の手を取って、脈を計った。
「Well…You really love Soushi Kato, don’t you?」
「Yah…He’s my life.」
 加藤蒼士を本当に愛しているんだなと梶木が言うと、彼は小さく頭を動かして『わたしのすべてだ』と答えた。
 梶木は微笑んで、小さく頭を動かした。
『これからも変わらず?』
『これからも、ずっと変わらず』
 梶木は彼の手をそっと戻した。
『だったら、もうしばらく彼に時間を与えてくれないか。会えるようになったら、おれが引き合わせる。約束するよ。友人として』
 彼は気だるそうに瞼を上げて、『了』と言った。

=====
See you next time!

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ゆずぶろ【2008/06/10 22:42】





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