オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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5 色葉散る(5/10)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第5章 色葉散る(いろはちる)(5/10)

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 夜になっても戻らない徳川に、松院は不安を覚えていた。遅くなるときには必ず電話かメールをよこす徳川が、今夜に限っては音信不通なのだ。
「ケイタイはドライブ・モードのまんまだし。メール打っても返ってこないし。会社にも居ないみたいだし。箱根にも行ってないって言うし・・・・」
 松院はダーッ!と叫び声を上げた。
「あったまきた!もういい!」
 松院はライダー用のウィンタージャケットを着込むと、ヘルメットを取り上げた。
 赤いNinjaに跨ってガレージから飛び出すと、松院は真っ先に会社に向かった。明かりが点いていないか、確かめようと思ったのだ。
 結果。会社には誰もいなかった。駐車場の前にはチェーンが張られていて、冷たい風に揺れていた。倉庫の前には営業用のカローラが横付けされていた。夜の会社の、いつもの風景だった。
 松院は会社の前をゆっくりと走り抜けた。

 車の流れにしばらく身を任せていると、飲み屋街の外れに差し掛かった。
「そうだ。香奈さんの店にも顔出してみようかな」
 ヘルメットの中で独り言を呟くと、松院はウィンカーを点滅させて小路に入った。
 そのときだった。小路の、次の曲がり角を白っぽいスポーツカーが抜けていったのだ。
「うっそ?!」
 ネオンに照らし出された小路での、一瞬の出来事に、松院の心拍数が跳ね上がった。通行人に用心しながらアクセルを開ける。
 追いつくまでにはさほど時間を要しなかったのだが、目の前の現実は松院を落胆させた。
「プレリュードじゃん!」
 遠目にはテールの形状が似ていた。しかし、ステイタスも値段も格段に違う。その上、車体の色はシルバーだった。
 松院は前行く車のテールを蹴飛ばしてやりたくなった。
「オレが探してンのはホンダじゃねえ!」
 小路の出口でプレリュードの後ろにくっついて信号待ちをしながら、松院は自嘲気味に呟いた。
「オイシイ話は、何度もないってねぇ・・・凹むぜ」
 ハンドルの両サイドにあるミラーに光が入った。
(眩しいっつーの!このタコ!)
 イライラしながらミラーを見ると、後続の車がぴたりとつけていた。車体の低い、白い車。流線型のボディ。
(えっ?)
 松院は目を凝らしてミラーに見入った。Ninjaのテールの陰になって、車のエンブレムまでは確認できない。
 そうこうしているうちに信号が青に変わった。
 後続車が右のウィンカーを点滅させていたので、松院も交差点を右に折れた。二車線の道路に出ると、後続車は追い越し車線に移って松院のNinjaを抜きにかかった。
 車体が並ばんとした瞬間、松院は右を振り返ってエンブレムを確認した。
 銛の形をしたエンブレム――MASERATIだった。
 次の交差点で再び赤信号に捕まった。MASERATIは先頭で停まっている。
 松院は車の間を擦り抜けてMASERATIの前に出た。そしてヘルメットを脱いで、MASERATIのドライバーを振り返った。
 視線が、まともにぶつかった。長い金糸の男は、確かに松院を認めた。
 交差している道路の歩行者信号が点滅を始めた。松院はヘルメットを被って顎のベルトを留めた。
 突き飛ばされるか、撃たれるか――胸の鼓動が速さを増す。
 信号が青に変わった。
 松院はNinjaのアクセルを開けた。急発進はせず、普段どおりスピードに乗る。
 白いMASERATIは赤いNinjaの後をついてくる。
 松院は、落ち着けと自分に言い聞かせながらNinjaを走らせた。 
 緊張と言う名の糸の上を走る、危険なランデブー走行。
 港湾へと続く道路に入ったところで、松院はNinjaを停めた。MASERATIはNinjaの前方を塞ぐようにして停まった。
 松院は愛車から離れると、MASERATIの運転席側に回り込んだ。運転席側の窓ガラスがスーッと降りた。
『あんたを探してた』
『そのようだな』
『手短に言うけど、もうヒロに付きまとわないでくれないかな』
『断る、と言ったら?』
『断らせないだけさ』
 松院はジーンズのウエストに挟み込んでいたPPK/Sを取り出した。
 男がフンと鼻を鳴らした。
『素人風情が。度胸だけは買ってやる』
『今のところ、あんたを撃つ気はない』
『ほお。何故?』
『意味がないからさ。やるなら、こっちだ』
 松院は銃口をMASERATIのフロント・タイヤに向けた。
 男がくつくつと喉を鳴らして笑った。
『なるほど。賢明な判断だ』
『もう一度言う。オレのヒロに付きまとうな』
『その名を出すな。カンに障る』
 運転席側の窓ガラスが上がり始めた。松院はとっさにPPK/Sを挟み込んだ。カツンと音がして、ガラスが止まった。ガラスと車体の僅かな隙間越しに、二人は睨み合った。
『待てよ。気に入らないのなら、話を変える。ソウシのことだったら、聴いてくれるか?』
 窓ガラスが少しだけ下げられた。松院はPPK/Sを引かなかった。男がフンと鼻を鳴らした。
『しつこいな』
『意外とね』
『病人は、帰って寝ろ』
 急にMASERATIが動き始めた。松院は跳び退った。
『逃げンのか、テメー!!』
 松院はNinjaに飛び乗ってMASERATIを追った。
 200メートルほど走ったところで、MASERATIが急加速をした。ハザードランプを二回点滅させたかと思うと、どんどんスピードを上げていく。
「ついて来いって?はいはい。解ったよ」
 松院はNinjaのギアを落とし、アクセルを開けてMASERATIの後を追った。

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ゆずぶろ【2008/06/13 21:09】





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