オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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5 色葉散る(10/10)
連載小説2 『黍嵐(きびあらし)』
第5章 色葉散る(いろはちる)(10/10)

☆明日がついに最終話です。

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。

<注意>
今回は、性描写はありませんが、若干掠る程度の表現はありますので、
本当に苦手な方はご注意ください。
(本当に苦手だったら、このブログに
こないだろうというツッコミがきそうですが・苦笑)


 徳川はマンションの書斎にいた。パソコンに向かって、報告書を作成しているところだった。
 自分の生死を決める、重要な報告書になるはずだった。
 徳川は手を止めて、右手首をさすった。
(あいつ、わざと殴られやがって・・・・)
 忌々しげに舌打をすると、徳川はセブンスターに手を伸ばした。


 松院は玄関の錠を解いて、室内に入った。
 廊下から眺めると、徳川の書斎から明かりが漏れていた。
(どうしよう・・・・)
 松院は心臓がチクチクした。徳川の顔を見るのが怖かった。
(だめだ。海棠に怒られる!また引っ叩かれたって、それはそれじゃん!)
 松院は意を決して書斎のドアの前まで行った。ドアをノックすると、徳川の声で返事があった。
 見慣れない男がデスクに居た。髭が無くなったというだけで、こんなにも変わるものだろうか。これで髪を黒く染めたら、全くの別人になるだろう。
 松院は徳川の傍まで進んだ。
「ヒロさん、さっきはごめんなさい。オレ、ひどいことを言った。ゆうべのことも、ちゃんと謝ろうと思って・・・・」
 徳川は椅子を回して松院の方を向いた。
「俺がどうして怒ったか、解るか?」
 松院は考えた。
 確かにニコライとは一夜を共にしたけれど、肉体関係があったわけではない。それはさっき徳川にも説明をしたはずだった。
「オレがあのひとと寝てもよかった・・・みたいなことを言ったから?でも、本当に何もなかったんだ。信じてよ」
 徳川は小さく頭を動かしてから、
「そうじゃない。あいつはプロだ。プロの殺し屋を相手に、素人のおまえがノコノコついて行けば、どういうことになる?」
「オレの身がヤバイってこと?」
「そうだ。あいつの身が危なくなったとき、おまえはどうだ?自分の身を守れると言い切れるか?プロは、余計な血が流れることを嫌う。特にあいつはその傾向が強い。しかし、おまえの存在が足手まといになると判断したら、その場でおまえを切り捨てなければならなくなる。おまえの口を封じて逃げることを強いられるんだ」
 思いも寄らなかった言葉を返されて、松院は固まっていた。
「俺は、蒼士のこと以外、おまえに頼んでいない」
 一線は引けという忠告だった。松院は項垂れた。
「・・・・ごめんなさい」
「解ればいい」
 松院は顔を上げた。そして徳川の瞳を真っ直ぐに見詰めた。
「ヒロさん。オレは、いなくなった方がいい?」
「何故そう思う?」
「オレ、恥ずかしくってさ・・・・蒼士も、海棠も、みんな身体を張って頑張ってるのに、オレだけちゃらんぽらんで」
「そんなことはない」
 徳川が椅子から立ち上がった。
「さっきのおまえの言葉は効いた。改めて我が身を恥じた」
 松院は激しく頭を振って否定した。
「ヒロさんだって、ギリギリだったんだろ?!それなのにオレ、ヒロさんにひどいこと言って・・・ヒロさんが危ない仕事をしてんのに、オレは、何もできない。ヒロさんの足手まといになるくらいだったら、いなくなった方がいいじゃん」
 松院の視界が涙でぼやけた。松院はまた俯いてしまった。
「俺が出て行けと言ったか?」
「でも」
「俺が出て行けと言うまで、おまえはここに居座るんじゃなかったのか?」
「だって」
「俺が何と言ったか、忘れたのか!!」
 徳川が大声を上げた。松院の身体がびくりと動いた。
 徳川は松院の腕を掴んだ。そのまま強引に部屋の奥まで連れて行くと、簡易ベッドの上に松院を押し倒した。
「もう忘れたのか?ここでおまえを抱いた、あの日のことを。もう憶えていないのか?」
 ああそうだと、松院は思った。
 久しぶりに訪れた、徳川の部屋。徳川がコーヒーを淹れてくれた。バルコニーから暮れなずむ横浜の風景を眺めた。
『おかえり』
 徳川の言葉と笑顔が、松院の脳裏に蘇った。
(おかえ・・・り・・・・?それから・・・?)
 ウィークエンドの香りが、松院の鼻をくすぐった。
 その瞬間、松院の中で記憶の扉が弾けた。憶えている。あの言葉が、胸に迫ってくる。
「ヒロ・・・さん・・・・」
「もう一度だけ言う」
 徳川は松院の髪を優しく撫でた。
「もう、どこへも行くな」
「ヒロさん、ごめ・・・・」
 徳川は松院の首筋に顔を埋めた。
「俺の傍に居てくれ・・・」
 くぐもった声。語尾が、震えていた。
 松院は徳川の背中に腕を回して、きつく抱き締めた。
 このひとを独りにした。独りにして傷つけてしまった。
 悔恨の情が、松院の胸に押し寄せてきた。
「ヒロさん、ごめんね。もうどこへも行かないから・・・ずっと傍にいるから・・・だから・・・」
 松院は言葉を飲み込んだ。代わりに徳川の背中を優しく撫でた。


 簡易ベッドの上で、松院は徳川にすべてを投げ出した。心も身体も、余すところなくすべてが徳川だけのものになるよう――

 松院の腕の中で、徳川は眠りに落ちた。
 静かな呼吸。穏やかな寝顔。
 松院は毛布をかけ直してから、再び徳川の身体に腕を回した。


 鬼の、業火に焼かれて灰になるまで――それまで決してこの手を離すまいと、松院は心に誓った。

=====
See you next time!

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ゆずぶろ【2008/06/19 20:20】





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