オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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1 葬列(1/2) 【Weiβ und Schwarz】
連載小説3 『Weiβ und Schwarz』
第1章 葬列(1/2)

本日から連載開始です!
これまで掲載してきたヒゲオヤジシリーズとは
若干毛色が違っています。
オヤジスキーのお口に合えばよいのですがw

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。
 霧雨の降りしきる初秋の肌寒い日。
 広大な墓地の一角で葬儀が執り行われていた。
 葬儀の参列者は二十人ほど。その全員が男性で、しかも兵揃いの独特の雰囲気を漂わせている。
 亡くなったのは、ある大組織の創始者だった。
 通称ドクトル・ユーバァ。人望の厚い男だった。
 喪主を務めるのはドクトル・ユーバァとともに組織を創ってきた男。
 通称プレジデント・セルジオ。組織の統領だ。
 プレジデント・セルジオは一点を見つめている。
 じっとそこだけを。
 見つめる先はドクトル・ユーバァの柩。それはすでに墓穴の底に据えられている。
 死者の柩に花が手向けられる。男たちの無骨な手によって白い花が次々と投げ込まれる。
 純白の花々に埋め尽くされてゆく棺。
 プレジデント・セルジオの番が来た。
 プレジデント・セルジオは、左手に持った純白のユリの花に愛しむような口づけをしてから、そっと手放した。
 ふわりと、棺を埋め尽くした花々の上に、プレジデントのユリが舞い降りた。
 プレジデントはゆっくりと左手を引き、それからきつく瞼を閉じた。

 最後に純白のバラの花が投げ込まれた。

 バラの花を投げ入れたのはプレジデント・セルジオの側近として名高い男、ニコライ=コーレマイネン。大輪の白バラも霞むような美貌と、明晰な頭脳の持ち主である彼は、プレジデントの右脇にぴたりと寄り添い、プレジデントの御身をしっかりと支えていた。
 白を基調とした服を身にまとっていることが常という彼が、黒の礼装で固めている。喪服の黒は、彼の研ぎ澄まされた美しさを一層際立たせたが、同時に、一種異様な雰囲気を醸し出していた。
 彼こそが、棺に眠る死者と最も縁深い者だということは、葬儀に参列している誰もが知るところだった。


 霧雨は降り続いている。

 葬儀が終わって、参列者たちの輪が崩れ出す。
「急だったな」
「本当に。先週の委員会ではお元気だったのに。心筋梗塞か。分からないものだ」
 小声で話しながら、男たちが二、三人ずつの塊になって歩いて行く。その一つに、組織の委員会の中でも特に重鎮と呼ばれる一派の姿があった。
 委員会の長、ツュクロープ卿。一等補佐のタウゼント。そして、タウゼントの部下のフンデルトだ。
 タウゼントが煙草に火を点けた。ライターの蓋を閉じるパチンという音が、やけに大きく響いた。それくらい辺りは静かだ。
「葬儀が終わったばかりで言うのも不謹慎だが、ドクトルの後継者はどうなっているのだ」
「それは勿論、御令息のニコライ様が―――」
 フンデルトが言いかけたところでツュクロープ卿が口を挟んだ。
「いいや、違う」
「えっ?違うのですか。小生はてっきり・・・・」
「ニコライはあくまで現場主義を貫くつもりのようだ。ドクトル・ユーバァの後継者は、プロフェッサー・ネーヒスト。彼がユーバァの名を引き継ぐ」
「プレジデントは承認なさったのですか」
「だろうな。わしとて、はっきりしたことをプレジデントの口から聞いたわけではないが」
 タウゼントが白い煙を吐き出しながら口を開いた。
「わたしは反対しない。ネーヒストなら適任だ」
「そうだな」
「はい。小生もそう思います」
 タウゼントが、ふいと視線を走らせた。
「見ろ。プレズィデントのお車だ」
「今日はこのまま東海岸のお屋敷に戻られるのでしょう」

 プレジデント・セルジオを乗せた黒塗りのリムジンが滑るように走り去って行った。

「先刻のプレジデントのお顔を見たか」
「ああ。憔悴しきっておられたな。さぞかしお辛いだろう」
「ずっと柩を見つめておられましたね。しかし、涙一つ見せずに・・・・本当にお強い方です」
「ニコライが、しっかりと支えていたからな」
 無二の親友を亡くしたプレジデント・セルジオ。
 共に手を取り合い、この地下組織をゼロから創り上げた男たちに、突然やってきた永遠の別れ―――
 プレジデント・セルジオにとって、ドクトル・ユーバァは魂の半分と言っても過言ではない存在だった。半身を失ったプレジデントを支えることができるのは、プレジデントの側近、そして、ドクトル・ユーバァが手塩にかけて育て上げたニコライだけだと、誰もが信じて疑わなかった。


***


 プレジデント・セルジオの屋敷。
 黒塗りのリムジンが横付けされた。
 プレジデント・セルジオはリムジンから降りると、側近のニコライに支えられながら屋敷の中へと歩んだ。
 すかさず、従者が姿を現した。
「お帰りなさいませ、アルフォンス様。ニコライ様」
 従者も喪に服した服装をしている。
 ニコライは小声で、寝所の準備は整っているかと尋ねた。
 従者は小さく頭を動かして、『了』と伝えた。
 ニコライは、敬愛するプレジデントを―――亡き父の親友アルフォンス=アンハルトの横顔を間近に見詰めた。
 灰色の瞳は光を失い、意思をも失い、虚空をさまよっているかのような印象をニコライに与えた。ニコライにしてみれば、このままではプレジデントもお倒れになってしまうかもしれないという危惧を抱かざるを得なかった。
「お疲れになったでしょう。おやすみになりますか」
 寝室に入ると、ニコライはそう尋ねた。
「いいや」
 プレジデント・セルジオことアルフォンス=アンハルトは、ブルーベルベットの椅子に腰掛けることを選んだ。目の前の鏡に二人の姿が映った。鏡越しに視線が合う。
 アルフォンス=アンハルトは、何も言わず、ただニコライの顔を見詰めている。
 ニコライは鏡越しに瞳を見詰め返し、そして、ふと表情を緩めた。
「プレジデント。今宵、屋敷に留まってもよろしいでしょうか」
 アルフォンス=アンハルトは小さく頭を動かした。
「おまえも疲れただろう。泊まりたければ、そうしなさい」
 ニコライは一礼をすると、寝室から姿を消した。

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ゆずぶろ【2008/07/08 19:00】





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