オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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2 白衣の聖人(1/6) 【Weiβ und Schwarz】
連載小説3 『Weiβ und Schwarz』
第2章 白衣の聖人(1/6)

本日から第2章に入ります☆

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。


 ドクトル・ユーバァの葬儀から半月ほど経った、ある晴れた日のことだった。
 プレジデント・セルジオの屋敷に一人の男が呼ばれた。男の名は、ニコライ=コーレマイネン。
 ニコライは淡い色の金髪を長く伸ばしていて、背丈は6フィート4インチ(約193cm)。引き締まった細身で、顔はといえば切れ長の目に碧洋の瞳、彫りの深い、いかにも北欧人種らしい様相を呈している。年齢は三十代半ばに差しかかろうとしている。見ようによってはゾッとするような美丈夫だ。
 組織でニコライがこなす仕事は狙撃手である。組織の委員会が【排除・抹殺】の決定を下した者に【死】という有難くない贈り物を届けるという仕事。端的に言えば【殺し屋】だ。

 ニコライは自ら愛車CAMAROのステアリングを握って屋敷を訪れた。玄関前で車から降りると、彼の耳にピアノの音が届いた。生のピアノの音だ。
 プレジデント・セルジオことアルフォンス=アンハルトは無類の音楽好きで、オペラやコンサートに足を運ぶだけでは飽き足らず、自宅に音楽家を招くともしばしばだった。

愛の夢 第三番

 リストの有名な曲。難しい技巧的な曲を多く作ったリストにしては珍しい、非常にロマンティックな雰囲気に満ち溢れた一曲だ。
 小春日和か大河の水面か、そんな穏やかさを感じさせる前奏から、少しずつ華やかなテンポへ移り変わってゆく。
 我が想い汝に届けとばかりに、ピアノの音色が高みへと登りつめ―――そして僅かな間隙を経て、再び緩やかな音色へと落ち着いていく。
 ピアノの音色に誘われるように、ニコライは屋敷の中へと足を踏み入れた。聞き覚えのある名曲につられて、無意識のうちに歩調がゆったりとしたリズムを刻んでしまう。
 長い廊下。濃いブルーを基調とした絨毯。窓から差した陽光が絨毯の上に木々や窓枠の模様をくっきりと描き出している。
 屋敷中央の階段に差し掛かったところで曲目が変わった。
 メンデルスゾーンの『歌の翼に』。もともと詩人ハイネの詩に作曲されたもので、これもまたロマンティックな曲だ。今はピアノ独奏用にリストが編曲した版で演奏されている。

 ピアノの音色の響いてくる部屋の前でニコライは立ち止まった。そっと扉を開いて中を窺う。

 中庭を見下ろすことのできる、日当たりのよい広間。窓は開け放たれ、薄いレースのカーテンが穏やかな風に揺らめいている。広間の中央には漆黒の艶を放つベーゼンドルファーのみが鎮座している。余計な家具は一切置かれていない、ピアノのためだけに設けられた部屋だ。

 ベーゼンドルファーの大屋根の陰になって、演奏者の顔を見ることはできなかった。ニコライは足音を殺してピアノに歩み寄った。
 演奏しているのは燕尾服を着た青年だった。ピアノと同じ艶を放つ見事な黒髪。同色の眉毛は、形よく眉山が上がっていて、意志の強さを現しているかのようだ。その下にあるのは黒く長い睫。瞼は閉じられているので瞳の色までは分からない。しかし、ニコライには大体の見当はついた。というのも、演奏者の青年は独特の顔立ちをしているのだ。恐らくは東洋人と欧州人との混血なのだろう。白人種に独特の岩を割ったような彫りの深さがない。そうかと言って草履のようなノッペリとした顔でもない。肌の色も、少し日焼けのさめかけたような、微妙な色合いだ。
 目を閉じて演奏に集中していた青年が、演奏の終わりとともに瞼を上げた。
「あ」
 青年は短く声を漏らした。ようやくニコライの存在に気づいたのだ。
 一方でニコライの視線は、かの青年の顔に釘付けとなった。青年の瞳の色は、ニコライが想像していたような茶色や緑色ではなかった。
 まさにアイスブルーと呼ぶにふさわしい、蒼く澄んだ色合い―――
 ニコライの瞳が『吸い込まれそうな深い碧洋の青』ならば、かの青年の瞳は『光を弾いて輝いている湖の青さ』にたとえるのがふさわしい。黒い睫に縁取られた薄蒼い瞳は実に印象的で、一瞬だが、睨まれたような感があった。
 ニコライの胸は高鳴った。
 無論、睨まれてドキリとしたのではなく、かの青年への好奇心が頭をもたげたのだ。
(創造の神は、彼の彩色をお誤りになったのだ)
 驚きに見開かれた薄蒼い瞳が、まっすぐにニコライを見詰め返している。シベリアンハスキーという蒼い目の犬がいるが、まさに彼らに見詰められているような感じだ。
 ニコライは、ふと表情を緩めると、手を叩いた。
「素晴らしい演奏だった。思わず聴き入ってしまった」
 ニコライの落ち着いたバリトンの声が広間に静かに響く。
 黒髪の青年は椅子からすっと立ち上がると、一礼した。
「ありがとうございます」
 利発そうな、張りのあるテノール。
 ニコライは青年に着席を促すと、自分も隣に腰掛けた。
 一つの椅子を半分に分け合って腰掛ける。
 間近に見る青年の顔は艶やかで美しかった。髪や眉毛が黒いということは、当然髭も黒いはず。黒い髭を剃れば、剃り跡が青っぽく残るはずだ。しかし、青年の肌には剃り跡がない。実に女性的な、つるりとした肌をしている。年齢の判りにくい顔立ちだ。西洋人の視点から見れば、十五〜十六歳でもお釣りが来そうだ。しかし、東洋系の人種をわりと見慣れているニコライには自ずと察しがついた。
(二十歳そこそこというところか。髪にも肌にもこれだけ色素がはっきりと出ているのに、瞳だけ色素が抜けているとは。なかなか珍しいルックスだ)
 ニコライは胸中でそんなことを思った。

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See you next time!

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ゆずぶろ【2008/07/08 18:58】





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