オヤジスキーどもの穴(連載小説用ブログ)
ゆずかほるの連載小説掲載用ページ。ここに掲載する小説には男性同士の恋愛および性描写が含まれますので、18歳未満の方・BL・やおい・同性愛等に不快感を抱かれる方は今すぐ退散してください。


プロフィール

ユズカホル

Author:ユズカホル
サークル名:BUCK÷STYLE/自称スケベビッチ・オヤジスキー。中学生の頃には既に自他共に認めるオヤジ好きを確立。よって小説の登場人物は平均年齢高め。ジャンルはハードボイルド系JUNE。ちょっと後ろ暗い感じのする小説を書くのが好み。
【イベント参加のお知らせ】
GOOD COMIC CITY 15 への参加が決定しました☆
08年8月30日(土)東京ビッグサイト
配置は東6ホール・タ・15aです。
立派な新刊はありませんが、コピー本だけは持参しようと頑張って執筆してます!内容はヒゲオヤジシリーズの番外編かな?お楽しみに〜v



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2 白衣の聖人(3/6) 【Weiβ und Schwarz】
連載小説3 『Weiβ und Schwarz』
第2章 白衣の聖人(3/6)

お読みになる方は、下の read more をクリックしてください。

 しばらくして、ニコライにはプレジデント・セルジオからお呼びがかかった。プレジデントが待つ書斎まで歩いていく間もニコライの頭の中は、かの青年と過ごした短い時間の出来事に占領されていた。
 青年が一瞬だけ見せた、ふわりとした微笑が脳裏にちらつく。大輪の白牡丹が花開いたかのような優雅な微笑だった。思わず捕らえてしまった青年の指。その感触がまだ残っている。
 ニコライにとって、すべてが新鮮だった。

 書斎の扉の前。
 ニコライは短く吐息を漏らしてこれまでの思いを吹っ切ると、短くノックをした。
「失礼します、プレジデント。ニコライです」
「うむ。入れ」
 革張りのソファに白髪の壮年男性がゆったりと腰掛けていた。彼の足元には一匹の犬がいた。プレジデント・セルジオの愛犬であり、かつ番犬でもある利口な犬だ。名をベン=ハーという。特大サイズのジャーマンシェパードドッグで、プレジデントの口にするドイツ語の命令しか聞かない。ニコライも一目置いている素晴らしい軍用犬だ。
「ああ、ニコライ。オフに入ったばかりのところを呼び立ててすまなかったな。さあ、掛けなさい」
 プレジデントに言われるがまま、ニコライはプレジデントの向かいのソファに腰を下ろした。
 それからしばらくは仕事の話だった。ニコライが数日前までヨーロッパで行ってきた任務についての報告や世界情勢の話をした。
 そして、いつしか話題はドクトル・ユーバァの葬儀へと移った。
 プレジデント・セルジオことアルフォンス=アンハルトが親友ハインリヒ=コーレマイネンの死に多大なショックを受けたことを非常によく知っているニコライは、自ら葬儀の話題に触れるようなことはしなかった。しかし、プレジデントは、完全とは言えないまでも、ようやく心の平穏を取り戻したらしく、自分からこの話題を切り出したのだった。
「まさか心筋梗塞なんぞでハインリヒを殺られるとは。ああ、本当に思いもしなかった。訃報を聞いたときには、目の前が真っ暗になった。涙も出てはこなかった。信じられないという思いすらなく・・・・ただ、何が起こったのか、判らなかった」
 呟くように話すプレジデントを見つめながら、ニコライは少しお痩せになったなと感じていた。プレジデントの灰青色の瞳もいまだに輝きが鈍いように感じられた。
 客間の柱時計が三時の時報を打った。すると、プレジデントの表情に少しだけ光が差した。
「ああ、ニコライ。実は今日、おまえに会わせておきたい者がおる。三時にこの部屋に来るようにと言ってある。ここの時計は五分早いから、もうじきここへやって来よう」
 ベン=ハーは何やら落ち着かない様子で、尖った耳をピンと立てて部屋の奥を見詰めている。しまいには【伏せ】の体勢のままで尻尾をハタハタと振り始めた。
 少し間をおいて、ニコライが入ってきたのとは別の、部屋の奥の扉が軽くノックされた。
「入ってもよろしいですか」
「うむ。入りなさい」
 姿を見せたのは、燕尾服を着た黒髪の青年だった。
 その途端、ベン=ハーは両耳を後ろへ寝かせて、ちぎれんばかりに尻尾を振りながら『キャオウ』と情けのない甘え声を漏らした。
「僕に飛び掛っちゃ駄目だからね。いい?」
 綺麗な発音の正確なドイツ語で、青年がベン=ハーに言い聞かせる。ベン=ハーはきちんと【お座り】してハタハタと尻尾を振っている。
 ニコライは不思議でならなかった。プレジデントの番犬が他人の言うことを聞くはずがないのだ。しかもこの甘えようはどうしたことか。
「おお?どうしたね、その格好は」
「新調していただいたものが出来上がってまいりましたので、早速着てみました。あんまり嬉しかったものだから・・・・」
 青年は真っ直ぐにプレジデントの脇へと歩み寄った。
 ベン=ハーは【お座り】のまま、青年の足元をフンフンと嗅いでいる。
「おかしくはありませんか」
 プレジデントは嬉しそうに目を細めている。
「いいや。とてもよく似合っているよ。おまえは顔立ちが上品だからね」
 青年を紹介すべく、プレジデントが椅子から立ち上がった。当然、ニコライも立ち上がった。長身の二人に挟まれる格好になって、かの青年はぐっと小さく見える。
「さあ、ご挨拶を」
「はい」
 青年は神秘的な微笑を浮かべながら、真っ直ぐにニコライを見詰めた。
「本日はお目にかかることができて光栄です、聖ニコラウス。僕はルードヴィッヒ=アンハルトと申します。以後、お見知りおきください」
 青年の口にした名前に、ニコライは内心ギョッとした。かすかな目眩すら覚えたほどだ。しかし、表情には一切出さずに、いつもの涼しげな顔で握手に応じる。
「先刻は失礼した。ニコライ=コーレマイネンだ」
「なんだ。おまえたち知己か?」
 きょとんとしたプレジデントに、青年が笑顔で応じる。
「ええ、ファーター。ついさっき、ピアノの間で」
 青年はごく自然に、そしてはっきりとプレジデントのことを『ファーター』と呼んだ。ドイツ語で『お父さん』と呼んだのだ。
 ニコライが組織に身を投じてもう何年にもなるのだが、アルフォンス=アンハルトの【息子】と称する人物に会ったのはこれが初めてのことだった。
(彼は一体何者なのか・・・・?)
 ニコライの中で、青年に対する興味がますます膨れ上がった。

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連載小説『Weiβ und Schwarz』の5話目を掲載しました。 深夜にUPしたんですが、コチラにリンクを貼っていませんでしたw (このページでは...
ゆずぶろ【2008/07/08 18:55】





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